トップ > 読み物 > 施設からのお知らせ > 脊髄空洞症に挑むロボットスーツHAL®︎:歩行と姿勢の新たな希望

脊髄空洞症に挑むロボットスーツHAL®︎:歩行と姿勢の新たな希望

脊髄空洞症は、脊髄に液体が溜まり神経を圧迫することで、痛みや感覚障害、筋力低下を引き起こす疾患です。

この症状は日常生活に大きな影響を及ぼし、特に歩行や姿勢の改善には多くの時間と努力が必要です。

近年、ロボット技術を活用したリハビリが注目を集めています。

その中でも、ロボットスーツHAL®︎(Hybrid Assistive Limb)は、神経や筋肉の動きを補助しながらリハビリを行う革新的なデバイスです。HAL®︎を使用した脊髄空洞症の歩行・姿勢改善の可能性について、実際の症例やリハビリ内容を交えてご紹介します。

 

ロボットスーツHAL®︎とは?

HAL®︎は、CYBERDYNE社が開発したロボットスーツで、身体に装着して使用します。

HAL®︎は、脳が筋肉に送る微弱な生体電位信号をセンサーで検知し、その信号に基づいて装着者の動きを補助します。これにより、自力で動けない筋肉を動かすサポートが可能になります。

 

特徴

•動きをサポートすることで神経回路の再活性化を促進

•装着者の意志による動きを重視するため、自然な動きの練習が可能

 

脊髄空洞症への効果

 

1. 歩行の安定化

HAL®︎を装着することで、脊髄空洞症による筋力低下やバランスの崩れを補助し、歩行時の負担を軽減します。

〈実際の改善例〉

•プログラム初期は短い距離をゆっくりと歩いていたY様が、HAL®︎のサポートで徐々に距離を延ばすことに成功。

 

 

 

2. 姿勢の改善

HAL®︎は装着者の動きを補助するだけでなく、正しい姿勢をキープする手助けもします。

姿勢が悪いと筋肉に余計な負担がかかり、痛みや疲労が増加しますが、HAL®︎は身体を支えながら正しいフォームで動作を練習できます。

プログラムを通じて、日常生活での姿勢改善にも繋がる効果が報告されています。

 

HAL®︎を使用したプログラムの流れ

 

1. 初期評価

患者の症状や身体能力を評価し、プログラムの目標を設定。

 

2. HAL®︎の装着とプログラム開始

生体電位信号に基づき、歩行や立ち姿勢の練習を開始。

初期はセラピストが付き添い、安全に進める。

 

3. トレーニングの継続

毎回のセッションで徐々に負荷を調整し、患者が自力で動ける範囲を広げていく。

トレーニングと並行して、体幹や下肢の筋力を強化するエクササイズを併用。

 

4. 日常生活への応用

プログラムで学んだ動きを日常生活に取り入れ、自立した生活を目指す。

 

 

症例紹介:HAL®︎で歩行と姿勢が改善したYさんの体験

 

プロフィール

•年齢・性別: 61歳男性

•症状: 脊髄空洞症により下肢の筋力が低下し、介助無しでは歩行困難。
姿勢の崩れから重心の移動が困難な状況。

 

プログラムの成果

•1ヶ月目: HAL®︎を使用した歩行練習で、装着時の歩行5分×3セット(歩行速度0.7Km)。

•3ヶ月目: HAL®︎を使用した歩行練習で、装着時の歩行10分×3セット(歩行速度1.5Km)。

筋持久力の向上がみられる。

・6ヶ月目: HAL®︎を使用した歩行練習で、装着時の歩行15分×2セット(歩行速度2.3Km)。

長い距離を歩くことが可能となる。姿勢改善がみられ、重心移動の向上がみられる。

 

Yさんは、「HAL®︎のおかげで、自分の足で歩ける自信を取り戻した」と語っています。

ビデオ (26)

 

HAL®︎リハビリのメリットと課題

 

メリット

1.個別対応: 患者の状態に合わせたプログラムが可能。

2.神経回路の再活性化: 意識的な動作が神経の再学習を助ける。

3.心理的サポート: 「歩ける」という実感がプログラムへの意欲を向上させる。

 

課題

1.費用面: 最新技術のため、プログラムのコストが高い場合がある。

2.継続性: 効果を維持するためには、定期的なセッションが必要。

3.施設の限られた普及: HAL®︎を扱える施設が限られているため、地域によっては利用が難しい。

 

まとめ

HAL®︎は、脊髄空洞症のような神経疾患を抱える方にとって、新たなリハビリの選択肢として注目されています。歩行や姿勢の改善を目指し、身体だけでなく心にも前向きな変化をもたらします。

技術と医療の融合が、これまで困難だったプログラムをより効果的に、そして希望に満ちたものに変えています。

脊髄空洞症で悩む方々に、このような選択肢が広がることを願いながら、前進し続けるリハビリの未来に期待しましょう。

あなたも一歩ずつ未来へ進んでみませんか?