トップ > 読み物 > 脳梗塞の基本知識 > 脳卒中の危険因子を減らすために
脳卒中の危険因子はさまざまです。
特に高血圧、糖尿病、脂質異常症の3大生活習慣病のほか、喫煙、過度の飲酒、運動不足といった生活習慣病が、脳卒中の発症に深く関わっていると言われています。
危険因子が2つ、3つ、4つと重なるにつれて、脳卒中を発症する確率は飛躍的に高くなります。
また、生活習慣病は、たとえそれぞれの病気は軽度であっても、複数重なることで動脈硬化のリスクが急激に高まることが分かっています。
こうした危険因子を1つでも少なくしていくことが、再発予防の重要なポイントです。
内臓脂肪型肥満に加え、高血圧、高血糖、脂質異常などをあわせ持っていることを「メタボリックシンドローム(代謝症候群)」といいます。
メタボリックシンドロームになると、動脈硬化が急速に進み、脳梗塞や心筋梗塞などの虚血性の疾患を引き起こしやすくなります。
脳卒中をもっとも発症しやすい年代は60歳代以降ですが、30代、40代の発症も増えつつあります。
これはメタボリックシンドロームになりやすい年代と重なっています。
つまり若い人でも、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常などのリスクをかかえている場合は将来の脳卒中発症を予防するためにも、1つでもリスクを減らす努力をする必要があるということです。
脳卒中の中でも、脳梗塞は再発しやすい病気です。
特に1ヶ月以内の再発が多く、1年以内では10%、5年以内では34.1%、10年以内ではなんと50%の人が再発しているというデータがあります。
初回の発作と同じ部位で再発を起こすケースもまれにありますが、ほとんどの場合は別の部位で再発します。
そのため再発を繰り返すたびに後遺症の程度が重くなり予後が悪くなります。
脳梗塞を一度発症した人は体質的に発症しやすい体質であると言えますので、薬による治療を続けながら生活習慣の改善を心がけていくことがとても重要になります。
●高血圧
高血圧の状態が続くと、常に血管に大きな圧力がかかり、血管の内皮細胞が傷つきます。
そうすると、その部分の血管壁の中にコレステロールなどの脂肪物質がたまって厚くなり、「お粥」のような状態になります。
このお粥状の病変を「粥腫」といいます。
この粥腫がなんらかの状態で崩れると、血栓ができてその血栓が原因で脳梗塞が起きます。
また高い血圧が血管にかかり続けると、固くなった血管壁がこぶのように膨らんでくることがあります。(微小動脈瘤)
この動脈瘤が高い血圧に耐えられなくなって破裂すると脳出血を起こします。
つまり、高血圧は脳梗塞も脳出血もともに引き起こす最大の危険因子とも言えます。
〈高血圧を予防するために〉
・塩分を減らす
・肥満を解消する
・禁煙する
・過度の飲酒を避ける
・適度な運動をする
●糖尿病
血液中のブドウ糖を血糖といいます。
糖尿病は、その血糖を調整するホルモンであるインスリンが不足したり、その働きが不十分であるために、慢性的に高血糖状態が続く病気です。
高血糖状態が続くと血管の内側が傷つき全身の動脈や毛細血管にさまざまなトラブルをまねき、動脈硬化を進行させます。
動脈硬化を起こした血管は、血液の流れが悪くなり、血栓ができやすくなります。
糖尿病の人は正常な人と比べて脳梗塞を引き起こす可能性をを2~3倍高くします。
〈糖尿病を予防するために〉
・肥満を解消する
・適正なエネルギー量を摂取する
・適度な運動をする
●脂質異常症
脂質異常症は血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が増えすぎる病気です。
脂質が増えすぎると、血管内に脂質が過剰にたまり動脈硬化をまねきます。
脂質異常症は心筋梗塞のリスクとして知られていますが、近年は脳梗塞にも深い関係があることが明らかになっています。
〈脂質異常症を予防するために〉
・食習慣の改善
‐偏った食事にならない
‐摂取総エネルギー量を抑えて、適切な体重を保つ
‐ビタミンやミネラル、食物繊維を摂取する
‐魚、肉、大豆製品、卵など良質なタンパク質を毎食適量摂取する
‐高コレステロールの人はコレステロールを多くとる食事を控える
‐中性脂肪が多い人は砂糖や果物などの糖質とアルコールを減らし、炭水化物を取りすぎない
・適度な運動をする
これらの3大病気は血管を傷つけて脳卒中を引き起こす原因となるため、発症、再発を予防するためにも、
生活習慣病と脳卒中の関係性をよく理解した上で予防意識に努めることが大切です。
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