トップ > 読み物 > 脳梗塞の基本知識 > 脳梗塞・脊髄損傷の身体の機能維持に必要な関節可動域と体力
麻痺をもって生活していくうえでの日常の生活・職業活動・余暇活動などの基本となる運動機能について。
関節は骨、軟骨や関節を包んでいる関節包・靭帯と呼ばれる組織などからできていて、とても滑らかに動くような構造になっています。
この関節の運動の範囲を関節可動域といいます。
それぞれの関節の正常な可動域があり、毎日動かすからこそ、正常範囲の動きが保たれています。
しばらく動かさないでいると関節は動きが悪くなっていき、この状態を関節の拘縮と言います。
その原因は、関節包や靭帯が弾力性を失って短くなること、関節を動かす筋肉そのものの伸縮性、特に伸び方が悪くなってくることなど色々です。
筋肉の麻痺があれば、必ず拘縮がおこってくると思われがちですが、自分の力では動かなくても、他人の手で(あるいは、自分の動かせる部位で)関節を動かしていれば、関節が硬くなること、拘縮はある程度防ぐことができます。
〈関節の可動域を保つ必要性〉
車椅子での生活性の基礎となっているものに関節可動域・筋力などがあります。
また、麻痺が完全でない場合には、筋力に多少の問題があったとしても、十分な関節可動性・柔軟性があれば、この作用を利用して、少ない筋力でも大きな運動ができるようになります。
関節の動きが悪ければ、麻痺の程度が同じでも機能はずっと悪くなります。
体力とは、人間にとって生きるための基礎となる体の能力です。
この体力には2つの面から考える必要があります。
まず1つ目は一般的に考えられる運動能力です。
これには筋力(筋肉の機能的な力・たとえば握力)筋持久力(運動がどれだけ長く疲労せずに続けられるか)、心肺機能、バランス能力、敏捷性、柔軟性、などが含まれます。
もう1つ目の体力とは、体を守る、病気にならないという能力です。
たとえば、気温などの環境の変化に適応する力、細菌やウイルスに対する抵抗力、また精神的なストレスに耐えることも体を守ること体力に含まれます。
体力トレーニングには運動力かつ体を守る能力を同時に強くする効果があります。
体力が低下すると、運動能力が落ちるだけでなく、体を守る力も弱くなります。
特に麻痺がある場合には十分な体力がなければさまざまな合併症(縟瘡、尿路結石、関節の拘縮、骨萎縮など)が発生しやすくなります。
麻痺のある人でも常に体力の維持・向上を目標に頑張っている人は、運動能力だけでなく、体を守る能も優れています。
〈体力レベルの段階〉
一般病院で行われる麻痺のある人のリハビリテーション訓練は、車椅子に乗っている状態でも日常動作ができていれば終了になります。
しかし体力にはそれぞれの段階があって、これでただちに社会に出て働くことができてあるいは家事ができるかと言えば十分とは言えないでしょう。
まず最低限の体力は、生命維持する力で、次は日常生活に必要な体力です。
その上は仕事ができる体力です。さらにその上はスポーツを楽しむことができる体力です。
体力のある人とない人では疲労の現れ方が違います。
体力のある人ほど運動が長続きし、体力のない人は早く疲れてしまいます。
例えば、麻痺がある人が車椅子で長い坂道を登れば、どの程度体力があるのかすぐに分かります。
腕の筋肉に自信があっても、息苦しくて胸がしんどくなったりすると運動を続けていくことができなくなります。
日常生活では差し支えない体力があっても、筋肉の疲労により心臓や肺の機能も体力の一部でこれらの機能も向上していく必要があります。
麻痺のある人の体力強化は、速さや力をつけるトレーニングよりも、持久力に注目して、心臓や呼吸の機能を高める運動をできるだけ長く続けられるようにすることが重要です。
性別や年齢または体力には個人差があります。
麻痺の度合いによっても異なります。
自己流ではかえって危険なこともあるので、まずは専門スタッフによる身体評価や医学的な運動処方をしてもらうようにしましょう。
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自己選択することで個別性を大切にした運動・指導を提供いたします。
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